限定というワードと宝飾品

手に入れたいけれど手に入らないものというのが宝飾品の所有欲をかきたてるのでしょうか。
今だけの限定
とか、
ここだけの限定
という。
つまり流通とか量産の間逆をいっていることになります。パンケーキやレストランメニューでもファッションの世界にも多く使われるキーワード。

それに矛盾して、たくさん評判を呼んでたくさん販売したいという企業の思惑もあるでしょう。

非公開とうたいながらチラシを配る不動産業者とか、シークレットライブといって、情報を流す音楽関係者とか。未公開とはいっても、非売品ではないわけです。限定だと。

この限られたひとしか手に入らない情報をもらえることができたという気持ちにさせるのがテクニックなのかもしれません。
人と同じものを持ちたくない富裕層には高級時計が人気なように。
限られた人にしか手に入らないということが他者と差を着けたい人にとっては刺激的であり、他人でなくともきのうまでの自分を刷新したいなら至福なときなのかもしれません。
ファッションとしても実用品としても機能を求められる高級時計の世界でも、軽くて錆に強い丈夫なチタンがもはや標準となっています。そして実用品として満たされれば、さらに嗜好品へとシフトしていきます。それがファッション感度の高いユーザーに支持されれば、それはやがてブームとなるのが世の常。そしてその大きなムーブメントが起こればさらに限られた人にしか手に入らないものが志向され、実力派小規模工房でつくられ、完成まで何年も待たされる受注生産の宝飾品、高級時計が指示される、常に刷新され続ける川の流れはうたかたにということなのだと。