原材料の価格と指輪の価値 オリジナル手作りと量産品との違い なぜ白金と金の価格が逆転する?

指輪の価値を決めるものは何ですか?
希少だからプラチナの価格が高く、たくさん地表にある金属は安いと勘違いしていると、プラチナの価格がゴールドの価格と逆転することの説明がつかなくなります。一番獲れ高の少ないのが白金(プラチナ)で資源的に希少だから高値なのではありません。現物貨幣としての安全貨幣へ投資対象として取引され価格が決められています。金属という塊が実際に売られたり買われたりして金塊が運搬されているというのは誤解です。マネーマーケットの先物相場によって数字上の取引が成されています。(*1)ゴールドとプラチナがドル円相場と密接に関わっているし、相場は人間の心理にも関係しているのに対し、近年最新技術で発見されたレアメタルはそうした経済の貨幣という意味合いで取引されているものではありません。ジルコニウムもハフニウムも核エネルギーの産業としての需要がメインで、核開発の恩恵で発展した金属としての需給で価格が決められます。

ものの価値に関することで個人的に興味深かったあるブログについて。
品質の良いものを良いコストパフォーマンスで提供できていることに、これでいいんだと励まされたのでブログの感想。

ものの価値が分からないで値段に文句を付ける人の対策について


このブログでは、伊豆のサーフィンの帰りの135号線の直売所で売られているおいしい干物と、スーパーの安い干物のお話しが書かれていました。
直売所の干物は天日干しなので、おいしんぼにも書いてあるそうですが、日光のおかげでたんぱく質がアミノ酸に変わり旨みが増すのに対し、スーパーの干物というのは、冷凍輸入された魚を大量生産でボイラーでいっぺんに乾かすそうです。味の違いがわかる地元の人は高い方をどんどん買っていくのに対し、中身がわからず表面的にお値段だけを比較して「伊豆は何でも高い」とやじを言う人も居るのだそうです。物の価格と価値、味の違いがわからない人がいるというお話です。
そしてさらに、それは非常にコストパフォーマンスの高いタブレット製品のレビューにまで話が及びます。理不尽なレビューが多いことの例を示してくれています。安くて良いものほど理不尽なレビューがあふれ、もっと高機能に多機能にしろ!とおおぜいの人が叫んでいる例です。

そしてこのブログは小規模な起業サイズで物販なりサービスなりを始めるときは「たくさん効率よく安く」に走らないで、「オリジナリティを持って付加価値をを大事に」の方がいいと言っています。「物の価値が分かる絞られた人」に販売するほうがやっていて楽しいし。と結んで。

まったく同感です。ファッションの世界も、ファストファッションが原宿にあふれ、使い捨てのようなサイクルで目まぐるしく消費されているのを日々見ながらの通勤です。型を作ってシルバーアクセサリーを量産するとか、不特定多数に受け入れられるジュエリーというよりも、どこにもないデザインで凝った作品をチタンで作りたい。大事に使い続けてもらえる結婚指輪を、と思います。

指輪は手間ひまかけて
こつこつその都度リクエストに応えて手作りされます。機械の旋盤でこけしを回転してけずるようなものとはまったく違い、個別に指の関節のでっぱり具合によって作りを変えています。女性のふっくらやわらかい指と、ごつごつ関節の出っ張った男性の指とでは、指輪の仕上げも微妙に変えて作っています。作品ですから一つ一つ金属の地金をかわいがるように叩いて引き締め、密度の詰まった丈夫で変形のないチタンの指輪の加工です。

チタンは実用面でプラチナの2倍の強さと耐久性に優れています
コストパフォーマンスという意味ではプラチナの何十倍も良いものです。いったいなぜあんなに傷だらけになる、すぐに楕円になるとわかっているプラチナで宝飾品を作ってきてしまったのだろう?宝飾業界に罪悪感はなかったのかなと思うくらい、チタンは価値が高いのです。プラチナリングの立派な大手宣伝広告であやつられてしまって、プラチナは高価で値打ちが高いと勘違いしている人がどれだけ多いことか。
結婚指輪を使い終わって質入れすることなどもってのほか、プラチナに資産価値があるとかないとか、結婚指輪は換金価値を前提に買うものではありません。これから消費者が勉強して賢くなってたぶんちょっとずつ気が付くのでしょう。

原材料の価格に焦点を当てるものさしでは価値は推し量れないと思います。
美術館の絵も原価は紙と鉛筆だけのものもあります。絵の価値は紙と鉛筆の金銭価値とは合致しないのです。そこに作り手が到達するまでの時間も関わります。たとえその絵が数秒で描かれたとしても、それを描けるようになるまでの膨大な時間が詰まっています。私は宝飾の学校に行ったことがなく独学で指輪を作っていて、絵の美術畑からの出身なので、宝飾業界の外側に居るような気持ちがずっと続いています。
工房で指輪を作って20年、原宿では老舗になってきました。工房では結婚指輪作りの過程で、ご結婚のお相手による加工を取り入れています。お金を出せば買えるものがあふれる消費社会ですが、パートナーの手による加工が入っているプライスレスな指輪作りにも挑戦しています。
これからもこつこつ作り続けていいのだなと思わせてくれるブログに出会いました。「物の価値」とってもおもしろいからリンクから飛んでみてください。
(*1)金(ゴールド)の値上がり要因・・・世界全体で個人の買いの増加、新興国の中央銀行の保有高増加
  白金(プラチナ)の値下がり要因・・・世界的な需要減少懸念、および供給拡大観測金相場とプラチナ相場の逆転 推移の図