チタンのデメリット

チタン・ジルコニウム・タンタル・プラチナ・ゴールドの3つの大きなデメリット

結婚した当初は、プラチナで作った結婚指輪をはめていて、数年経ってから、突然金属アレルギーを発症し、チタンに買い直す人が増えてきています。
金属アレルギーのある方は、プラチナをあきらめ、チタン、ジルコニウムが救いの神ならぬ救いの金属です。結婚指輪の材質といえば従来のプラチナが一般的でした。プラチナはとてもデリケートで繊細な金属ですので、大切に扱わないと1日で傷がつきますが、そういった傷つき易さ、歪み易さのデメリットをカバーする強いチタンにもデメリットがあります。
近年チタニウム需要に加速がつき「チタニウム」というフレーズの認知度が上がっています。チタニウムは加工上の材質の特性について「チタンの欠点
の中で触れましたが、チタンの結婚指輪として長く使ううえでのデメリット、実践的現場において、指輪のサイズの変化についても合わせて考えてみたいと思います。
熟練した実店舗に足を運べば、ネット上の都市伝説よりも有効な手助けになることでしょう。
1、最も大きな相違点は割りがね(合金)か純金属か プラチナとゴールドジュエリーは合金であり、チタン、ジルコニウム、タンタルは合金でない純な金属
ジュエリー界では合金があたりまえです。割りがねと呼ばれ用途に応じさまざまな金属をブレンドし、様々な色の違いを楽しんできました。ネーミングもシャンパンゴールド、ローズゴールド、ピンクゴールド。金のピュアのことを24金といいますが、純金24kゴールドロウ付け箇所無しのジュエリーというのはよほどオーダーメイドで厳密に頼まない限り市販では手に入りません。純プラチナというのも同様です。一般の結婚指輪は18kゴールド、プラチナ900と呼ばれます。24のうち18の割合で金が入ってその他の割りがねは別の金属という意味です。1000のうち900がプラチナでその他割りがねは銀やパラジウム、ルテニウムや銅を混ぜて補強しないとジュエリーとしては実用に耐えないこと、接着に融点を下げたロウ材を溶かして接合するからです。そしてローズプラチナやグリーンゴールドなど若干の赤み、青みのバリエーションも目的のひとつです。ローズやピンクと聞くと女性に人気のイメージがあるのですが、残念ながら金属アレルギー反応を呼び起こす金属となります。
それに対しチタンは混ぜ物をする必要がありません。チタンそれ自体で十分に硬いため、純チタンにあえてブレンドする必要はありません。
めがねのシャフトやゴルフクラブと混同している方もいるようですが、しなりを良くするために使われるチタン合金のものと違い、ジュエリーには純チタンが使われています。
2、細密な職人技である加工表現に限りがありましたが近年は技術が向上し硬いゆえ実現できるデザインも

やわらかいプラチナやゴールドとは逆に、硬さがデザイン表現上のデメリットでした。(チタニウム同様にタングステンにもジルコニウム製リングにもタンタルにも同じことが言えます)
プラチナのデメリットは、誰もが歪んでいると言えるほど、真円を保っておらず、結婚3年で歪んでしまったという声
歪んで関節にひっかかり指からはずせなくなった例。
拍手や手拍子をして歪んでしまって、痛くなりプラチナの結婚指輪を切断してしまった例、
ティファニーのオープンハートのような形に変形した例、
テーブルを移動させたときにぐにゃっと曲がって、指から指輪が抜けなくなったけれどペンチで自分で直せた例など。

伝統工芸や国宝に見られる金の細密描写などは柔軟な削りやすい貴金属だからこそできる技です。これは粘りけが少なく硬いチタンの苦手とするところ。

純金は金箔にできるくらいの柔軟性に富んだ素材で、漆工芸や象嵌など伝統的なさまざまな技術を生み出してきた歴史がありますが、チタンにそうした歴史はありません。
チタンも太古のむかしからある金も、同じように地球のどこかに眠ってはいたのです。人類に見つけられるのが何千年も早かったか遅かったかの違いです。地球の奥に眠っていて技術の進歩の恩恵により取り出されたのはチタニウム、ジルコニウムも同様です。ですからツタンカーメンの時代の金はあってもチタンの埋葬品というのが存在しなかったわけです。銀閣寺はあっても「チタン閣寺」はなかった。今は浅草寺の屋根も有名ですし神社仏閣の屋根はチタン製のものが存在します。

チタンはそれだけ得難いものだった。原料は地中に眠っていても、チタニウムという素材としては難易度が高い、だから希少=マイナーメタルなのです。資源的にレアなのではありません。世界最高峰の日本の技術をもってしてもチタンの精錬はほんのわずかしか獲れないのがチタンであって、他の鉄やニッケルの比ではない高い技術と電力コストと時間を要するところがレアメタルと呼ばれる理由です。
金属にはチタンよりはるかに硬いメタルもたくさんあります。プラチナがすぐ壊れてしまうほどやわらかく、チタンは壊れない硬さを持つというだけの違いです。大切に大切に使わないとすぐ壊れる金銀のジュエリーと、酷使しても大丈夫な素材がチタンということになるのでしょうか。3、コスト高
精錬に時間がかかり少ししか獲れないことと加工コスト。流通コスト。
まず流通ですが、プラチナもゴールドもグラムで買うことができ誰もが入手できる貴金属です。買い取ってくれるシステムもあるので仮にプラチナ結婚指輪を資産として処分しようと思えば、購入した時の20分の1くらいで換金はできます。
一方チタン、ジルコニウムをグラム単位で共通の相場で売ったり買ったりできるシステムは日本中どこを探してもありませんのでキロ単位でないと金属クズとして換金は出来ません。一般に欲しいだけ買うといったたぐいのものでなく、流通にもコストが発生しています。ジルコニウム、ハフニウムは核エネルギー産業から派生して得られるようになった金属です。核に関連した流通コストを伴っています。最先端マイナーメタルは加工し易い形状での流通は限られているため、ジュエリー材としての入手は簡単ではありません。加工に使う工具もダイヤモンドを使用しコスト高となります。切削くずも産業廃棄物となりますので廃棄もコスト高となります。

参照チタンとカーボンファイバーの溶接はこうする

通常の結婚指輪はプラチナ、イエローゴールドなどであればロウ付けによりつなぎ合わせた個所がわからない加工が可能ですが、チタンは酸素があるところでは溶接ができないため、ガスを充満させ酸素を遮断した状態を作ってガス内で接合する必要があるため、工房内での手作業では難しいためです。

切断加工に使う刃が消耗する
一般的なプラチナ900など貴金属であれば、普段使いにするだけで摩耗するわけですが、チタンの場合なかなか摩耗しないかわりに切ったりする加工にはプラチナの2倍時間がかかります。
肌身離さず着ける結婚指輪ですが、もし万が一の急なご病気などの事態により指からはずせなくなった緊急時、消防署に用意されている指輪カッターなる器具があります。実際に消防署に駈け込まれカットされた方から伺ったお話からわかったのは、替え刃がきちんと用意されていたこと、途中で切れ味抜群の刃と交換して切断したこと。
通常の貴金属の2倍チタンは硬いわけですから、カッターの消耗も2倍あるということ。
円形のカッターをくるくると回して指に安全に切ってくれます。
その際に新品の刃に交換して切るということになります。

英語圏でのtitaniumブームの影響で「チタンの結婚指輪が切れないので危険?」といった見出しの記事が出たようで、相談が寄せられました。切れないのではありません。一般の方がこのような記事を書かれるようになったという事は、チタンの結婚指輪もかなりブームになってきたんだなと思います。
チタンが金属の中の硬さで突出した唯一の金属のようなイメージからこういう噂が言われだしたのだと思います。実際に金属の切削をした事のない方は、2倍硬いなら2倍時間もかかるという発想をするかもしれませんがそうではありませんし、切れないからチタンの結婚指輪だと危険で、プラチナやゴールドだと柔らかくてすぐ切れるから安心して良いという論理は成り立たないでしょう。
実際にチタン製の結婚指輪で駆け込んだ人もいらっしゃるということです。消防署でプラチナとゴールドの指輪しか想定せず、ハードプラチナやチタンを想定していらっしゃらない所があるかどうか、消防署はジルコニウムやタンタルを想定してくれているでしょうか?

(刃の消耗が早いという事が、それだけ加工の難易度を上げてしまい、コストにも繋がるデメリットにもつながります。)
一般の方はチタンだけが突出した硬さを持っていると思われがちですが、チタンの特性と類似性の高い金属にジルコニウムがあります。

ジルコニウムは見た目はサージカルステンレスに酷似していて、手触り、色も見分けるのが難しい金属です。ジルコニウムリングとサージカルステンレスを手に持った感じもとても似ています。チタニウムはとても軽い着け心地がしますし、逆にタングステンはずっしりと感じます。
*電解発色されたジルコニウムの色は頑固に着いたチタンの色とは違い、永続しません。簡単に落とせるジルコニウムの色はまた再発色も簡単です。
チタンの再発色にはかなり頑固な被膜を削り落とし再研磨になるため、サイズが大きくなってしまうという事がありますが、ジルコニウムは削らなくても色が取れるため、サイズが大きくならずにすみます。

3TG
鉱物が採掘の紛争の「タンタル」と「ゴールド」の共通点 3TG
コルタン ロンダリング
ゴールドとタンタル

チタンのデメリット

blackzirconium & titanium black ring 出典元 BridalPD.com

■ 良い結婚指輪の必要条件とデメリット

見た目の第一印象よりも、長く使ってどうなるかが考えられた指輪かどうか。
経年変化を熟知されたデザインかどうかに集約されると思います。
それぞれの金属素材のデメリットを熟知した上で、デザインされた結婚指輪もあるということ。

デメリットとメリットは常に表裏一体と言えます。結婚指輪の素材にはさまざまな選択肢があることを知っていただきたいです。
もはや結婚指輪はこの金属がメジャーだという時代ではなくなり、それぞれの体質に合わせてプラチナや金やチタンを選択するロングテールの例外ではないと思います。

純チタンのペアの指輪
これだけのデメリットも理解された上で、あえてチタニウムが選ばれていて、環境や工学、生活に関わるあらゆる企業がチタニウムを研究しているということ。

それでもチタンが選ばれる理由

センスが良いタンタルの指輪を着けている友人のリングはこちらで購入したそうです。さすが時計の国スイスだなと思います。タンタルのWedding ring
タンタル ハフニウム ジルコニウムなどの指輪を製作しているところ(ラ・シュシュさん)を高崎に見つけました。

タンタル ジルコニウム チタニウムのその他の実店舗 渋谷 (ブライダルPD)